京都市立西京高等学校
(エンタープライジング科)
合格-2014年度
後悔しないために
「また後でやろう」。こんな気持ちがいつも渦巻いていた中学二年生の生活は、とても苦しかった。
中学一年生のとき、僕は成基学園に入った。そのときは、何事にも意欲があった。難関校を目指しつつ、部活もがんばると
いう目標をもって生活した。科目では、理科の生物に興味があった。「バイオミミクリー」という、生物の真似をすることで科学技術を開発することに心がひかれ、夢をかなえたいという気持ちがわいてきたのは、この頃であった。成基学園の他の生徒は、とても賢かった。僕は、その人たちに食らい付くために一所懸命に勉強した。また、部活も番手が上がるように、他の人よりも練習を増やした。
中学一年生の二学期の頃から成績が上がり始め、部活は三番手に入ることができた。がんばった成果が出たのでとても嬉しかった。だがこのとき、自分に妙な自信が生まれていた。
中学二年生になり各教科の先生が変わった。僕は、一年生のときとそんなに変わらないだろうと考えていた。だから自分は大丈夫だと思っていた。しかし、その予想は大きく外れていた。
中学二年生の勉強内容は、一年生と比べてかなり難しかった。また、S先生とY先生の授業は内容がとても濃く、復習は大変だった。だんだんきつくなってきて、勉強が今まで以上に苦痛になってきた。ついに、復習を疎かにしてしまった。すると、みるみる成績が下がっていき、みんなに遅れを取ってしまった。自分でも、勉強をしなければいけないと分かっていたが、後まわしに後まわしにしていた。
部活もだんだん結果が出なくなってきた。だから練習するのが嫌になり、サボるようになってしまった。
部活も勉強もうまくいかなくなり、とてもイライラした。だから、勉強も練習もしたくないと思い、しなければいけないことを全て後まわしにした。最悪の悪循環だった。
あるときのテストで、僕はとても悪い点数をとった。かなりショックだった。けれど、これからがんばったらまだ大丈夫、と思いつつも後まわしにした。
十一月にS先生と面談があった。そのときに僕は、逃げ続けていた現実を見ることになった。S先生は、僕の目を見て、「前のテストも悪かったし、成績が落ち込んできているから、クラスを落としましょう。このままでは、SSH指定のどの学校も難しいでしょう。」と言われた。僕は頭の中が真っ白になった。自分が惨めだと思った。あのときもっと勉強していればよかった、過去に戻りたいという後悔が滲み出てきた。そんな自分がとても悔しかった。
その後も、S先生は僕に対して厳しい言葉をかけられた。しかし面談の最後に、S先生は、「これからがんばれよ。」と言って背中をたたいてくださった。僕は、もうこんな惨めな思いはしないと心に誓った。
その日から僕は心を入れ替えて、勉強に専念した。まず、寝る前にその日習ったことの復習をした。また、空いている時間に単語帳を見て、無駄な時間を少なくした。そして、学校から直接学園に行くようになった。家に帰るのも時間がもったいないと思ったからだ。
部活から直接学園へ行き、勉強してから授業を受けるのは想像以上に大変だったが、後悔はもうしたくないと思った。その気持ちで勉強をし出してから四ヵ月後、成績が上がり出してきた。特に、苦手だった数学が伸びて得意科目になった。そのとき僕は思った。がんばったら結果は必ず出る、と。
僕は、部活も一所懸命に練習することにした。他の人より多く走り、意識して練習した。すると夏期大会でレギュラーに選ばれ、みごと入賞した。
部活が終わると、学園の人たちは受験モードになった。僕も、遅れを取らないように受験勉強をがんばった。しかし、十一月頃、僕は思うように点を取れなかった。成績が停滞していた。だが、もう後悔したくないという思いで、受験直前まで一所懸命に勉強した。
けれど、一つ不安があった。受験でケアレスミスをしてしまうかもしれないという不安だ。だから、初めの帝塚山高等学校の受験はとても怖かった。しかし、Y先生が、「チャレンジなんだから気楽に受けてこい。」と言ってくださったので、落ち着いて受けられた。結果は合格だった。とても嬉しかった。
そして第一志望校の京都市立 西京高等学校の受験の日、とても緊張したが、しっかり実力を出せたと思う。これは、今まで熱心に先生が指導をしてくださり、自分を励ましてくださったからだと思う。また、親が僕を信じて協力してくれたからだと思う。
僕の夢は、中学一年生のときに心惹かれたバイオミミクリーの開発をすることである。例えば、とんぼの空中停止の方法を利用してヘリコプターの原理を開発することなど、今よりもっと人々を豊かにすることができると思っている。その思いがあったからこそ、苦しいときにもがんばることができた。高校生活でもこの夢を持ち続け、絶対に後悔しないために、いろんなことにチャレンジしたい。