京都市立堀川高等学校 | Good Luck ― 運命と奇跡 ―【高校受験-合格体験記】|成基学園-受験指導と志共有の学習塾

京都市立堀川高等学校
(探究学科群)
合格-2013年度

Y・Yさん

Good Luck ― 運命と奇跡 ―

将来、私は外科医になる。
そう決意したのは、いつだか、はっきりしないが、その思いを強くさせた三度の出来事がある。 五年前の七月十四日。夕食を囲む我が家に電話が鳴り響いた。
「おじいちゃんが……亡くなったって。」
訃報だった。信じられなかった。深夜、祖父の家に着いた。棺の中で見たこともないほど美しい顔で寝ている祖父は、何を喋りかけても美しい顔をしたままだった。
それから一年、私は初めて成基学園の「夏期講習会」に参加した。中学受験をしようと思い立ったのである。クラスの雰囲気も良く、すぐに馴染めたこともあって、私はそのまま入塾した。しかし、夏から参加した私と周囲との差は歴然だった。ただ、必死に勉強した成果もあり、当初D判定だった京都市立 西京高等学校附属中学校の合否判定はA判定にまでなった。――それで合格すると思っていた自分が馬鹿だった。

二〇〇九年一月二十日。学校から胸を高鳴らせて帰宅した自分の目に飛び込んできたのは、口惜しそうな母の表情と、受験番号一三七が飛ばされている西京附属中のウェブサイトが印刷された紙だったのだ。
あの頃は、全身全霊でがんばっているつもりだった。ただ、高校受験を終えた自分にとって、あれは遊びだったとしか言いようがない。当時のメンターの方々には本当に申し訳ないが、振り返れば振り返るほど温(ぬる)い受験だった気がする。

そして三年前の春、私は地域の中学校へと進学した。それから時を同じくして、祖母が入院したとの一報が入った。膵臓がんだった。突然、私の脳裏に胃がんで亡くなった祖父のことが蘇った。絶対に死なないでほしい。その一心だった。
しかしながら、祖母の病状は悪化した。担当医はついに匙(さじ)を投げたと聞いた。私はそんな状況でも、祖母に何もしてあげられない自分が悔しかった。
祖母はこのまま死んでしまうかもしれない。そう思っていた矢先、父の働き掛けで一人の外科医が申し出てくださった。京都大学附属病院の方だった。彼は難しい手術を危なげなくやってのけ、がんの摘出を成功させた。私は言葉が出ないほど嬉しかった。
「京大」かぁ…。
いい響きだった。いつしか自分も彼のようになりたい、そう思い始めた出来事だった。

時は過ぎ、私は受験学年になった。第一志望は、リベンジを果たすべく京都市立 西京高等学校としていた。そして、小六の経験から、夏から本腰を入れても間に合わないことはよくわかっていたので、私は誰にも負けぬよう密かに先陣を切っていた。その成果もあって、「夏期合宿」のテストでは三位になっていた。
秋に入り、「日曜進学教室」が始まった。第一回は総合九位で、まずまずだった。――
まさか、それが全十五回で最初にして最後の一桁順位になるとは、そのとき考えもしなかった。成績は下り坂をどんどん転がり始めた。第十一回。成績は四十九位にまで転落していた。見上げるほど高く貼り出されていた成績は鼻の高さになっていた。自分の名前が涙で見えなくなった。そして、そのまま泣き崩れた。
どうすればいいんだぁ!!
葛藤の毎日だった。そんなある日、二人の友だちと学校から帰った。彼らは真剣に相談に乗ってくれた。運命だったのかもしれない。
「お前、将来、どこの大学行きたいの?」
公園の横の道端で三時間は話したと思う。
少しずつ目標がはっきりしてきた。
「京大行って……外科医になりたい!」
二人は、それぞれ私に京都市立 堀川高等学校と洛南高等学校を勧めてくれた。二校とも何度か行っていた。二週間考えた後、校風や行事の多さから、私は堀川高等学校に第一志望校を変更した。この時期に志望校を変えるなど、自分でさえ思ってもみなかった。しかし、今振り返ると二人には本当に感謝している。
それからの私は、文字通り死ぬほど勉強した。そして二月に入った。最初の受験校が、最難関の東大寺学園高等学校だった。正直、無理だと思っていたので、合格発表の日は学校に行っていた。その休み時間のことだった。「今、お母さんから電話があって、東大寺に受かったよって。」担任の先生はそう言って笑った。奇跡だと思った。学校を早退した私は東大寺学園高校へと向かった。途中の道で一人泣きながら歩いて、じろじろ見られた。涙が止まらなかった。
その後、洛南高校の空パラダイムに合格した。併願は狭き門と聞いていたので、信じられなかった。――けれども、もう恐いものはなかった。
そして、二〇一三年二月二十日。堀川高校の合格発表は、学校で担任の先生からされることになっていた。合格は確信していた。扉を開けると、先生は笑っていた。
合格者通知には、受験番号二四六三〇九がしっかり印刷されていた。

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