京都府立嵯峨野高等学校
(京都こすもす科)
合格-2014年度
なぜ勉強するのか
二〇一一年一月十八日。それは私が生まれて初めて挫折を経験した日、忘れもしない京都市立 西京高等学校附属中学校の合格発表の日です。
私は姉の影響で小学五年生のときに成基学園に入塾し、小学六年生からは〈洛北・西京・園部コース〉に入り、西京高附中の合格を目指して約二年間、受験勉強をしていました。勉強量なら誰にも負けない自信があったし、周りの人にも心配されたことはありませんでした。
しかし、結果は不合格。補欠合格にも届きませんでした。当時、私のクラスの担任をされていた先生からは、
「合格させてあげられなくてごめんね。」
と電話で涙ながらに言われて、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
それから約二週間は家に閉じこもり、自分を責め続けました。ですが、その二週間は自分を見つめ直すきっかけにもなりました。
私はいったい何のために勉強していたのか、なぜ西京高附中に入りたかったのかを改めて考え直しました。今まで、勉強をする理由も、学校に行きたい理由も、考えもしなかったことなので、改めて考え直すとなかなか理由が見つからず、そもそも理由なんて最初からなかったのだということが分かったのです。
その日から私の受験勉強が始まりました。明確にこの職業に就きたいという夢はありませんでしたが、以前テレビ番組で、毎日生活に困り、まだ幼いのに重労働を強いられている子どもたちを見たことがあり、そのように苦しい思いをする人を一人でも多く減らしていきたいという思いがあったので、世界で活躍し、人のためになる、人を助ける活動をしたいと思っていました。
そのためには英語などの外国語が話せなくてはならないし、現在の社会情勢を熟知していなければいけません。だから、英語と社会には特に力を入れてがんばりました。そうやって、今度は勉強する理由をきちんと持ったうえで勉強をするようにしていきました。
中学一、二年生のときは部活との両立にとても苦労しました。塾をやめてしまいたいと何度も思いました。ですが私には叶えたい夢があったので、諦めずに続けていくことができました。
一番大変だったのは、やはり中学三年生のときでした。部活が終わり、今までよりも勉強量が格段に増えました。特に数学は大変でした。毎日毎日少しずつ難しくなっていく問題に、頭が痛くなることばかりでした。
そんなとき、一番の支えになったのは共に闘う友だちでした。私と同じように夢を持った同い年の中学三年生が、苦しみながらもがんばり続けているようすを見て、勇気づけられました。また、先生方の励ましの言葉が私を強くしてくれました。
そして迎えた入学試験本番。本当にあっという間の六時間でした。始まったと思ったら終わっていた、そのような感じで、とても呆気なかったです。手応えはありませんでしたが、やり切ったという気持ちが溢れていました。
結果は合格。心の底から、あのとき諦めなくて良かったと思いました。二週間悩んで良かったと思いました。
合格の知らせを一番喜んでくれたのは、塾で共に闘った友だちでした。夢へ向け、一緒に一歩踏み出した彼女たちの顔はとてもキラキラしていて、心が温かくなりました。
受験は結局、自分との闘いだと思います。悪い結果が出たときに悔しさをバネにできるか、反対に良い結果が出たときに、さらに向上心を持って現在の自分を超える努力ができるかどうかが全てだと思います。その強い意志を貫くためには、将来自分が成し遂げたいことを考えることが大切です。そのための手段が勉強です。
五年前の私に欠けていたのは、その認識でした。ただただ流されるままに勉強をしたため、誰にも負けない勉強量があったにも関わらず、精神面で負けていたので受験に打ち勝つことができなかったのだろうと思います。仮に合格していても、進学後も流されるまま勉強をすることになってしまっていたと思います。そう考えると、あのとき不合格になっていて良かったのかもしれません。
成基にいた五年間は、本当に内容の濃い五年間でした。自分の弱さに気付き、多くの方に支えられた五年間でした。成基で出会ったメンターの方々、クラスメイトには感謝の気持ちでいっぱいです。
これからは、自分の夢にさらに近づくために、大学進学を目指して、さらなる努力をし続けたいと思います。