京都府立嵯峨野高等学校
(京都こすもす科)
合格-2014年度
栄光に向かって走った五年間
僕が成基学園に入塾したのは、小学五年生の頃でした。当時、週に一回ピアノを習っていたぐらいで時間の余裕があり、親のすすめもあって入塾を決めました。まだ、受験に対する意識も低く、楽しんで通っていました。学校では教えてくれない 知識や考え方を学べるというのが、小学生の僕にはとても新鮮に感じられました。
それから二年経ち、中学校に入学すると、僕は吹奏楽部に入部しました。吹奏楽部は練習が厳しく、平日はもちろんのこと土、日も朝から六時ごろまで練習がありました。部活が忙しくなると、僕の勉強時間は少なくなっていきました。勉強時間が減ると、成績も段々と下っていくようになりました。
そして中学三年生になっても成績は上がらず危機感を覚えるようになりました。が、自分に甘えがあり、勉強時間を増やすようなことはしませんでした。
結局、〈中3夏期学習合宿(夏期合宿)〉では石川会場に行くことができず、京都会場に行くことになりました。壮絶な時間割でした。初めは、旅行気分のような軽い気持ちで行っていたのですが、見事にふいを突かれてしまいました。しかし、周りの人たちの授業や自習のときの真剣なまなざしを見て、僕も真剣に取り組むように心がけました。「勉強をする」ということが少しわかるようになりました。
〈夏期合宿〉が終わってからは、少しずつ勉強時間を増やしていきました。授業も以前より真剣に受けるようになり、いろいろな模試やテストを受けて自信を付けていきました。自分の中では、受験への道がかなり明確なものになったように思えていました。しかし、状況は一変しました。
季節が秋になり、部活も最終局面になると〈日曜進学教室(日進)〉が始まりました。最初は成績もよかったのですが、回を重ねる毎に悪くなり、段々と勉強をする意味がわからなくなっていきました。塾もサボるようになりました。やがて、それを何度もくり返すうちに先生に見つかってしまい、親と話し合うことになりました。話し合う内に、勉強する意味をちゃんと考えようと思いました。勉強としっかり向き合えるようになろうと思いました。
そんな中で僕は一冊の本に出会いました。桜庭一樹さんの『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(知っている人がいたら語り合いたいです)という題名の本で、勉強とは全く関係のない内容ですが、一日中その世界から抜け出せないほど感動してしまい、こんな本を自分も書けるようになりたいと思いました。そして僕は、作家になるために勉強を糧にしようと決めました。
それからは本格的に勉強と向き合うことができるようになりました。〈冬期講習会〉や〈正月特訓〉を乗り越え、ラストの一週間はいつも通り過ごすようにしながら、早寝早起きを心がけました。
そして入試当日、緊張しながらも、オレンジのジャンパーの先生方の中で一人だけ違うコートを着ているS先生に挨拶をして、トイレを済ませて受験に臨みました。緊張しましたが、萎縮(いしゅく)することなくテストと向き合うことができました。
入試から一週間が経ち、いよいよ合格者発表の日。少し遅れてしまった僕は、母親と共に一本後の電車に乗って学校へ行きました。学校への途中で、泣いている人や封筒を持っている人が混じって歩いてくるのを見て、複雑な気持ちになりつつ学校に着きました。そして貼り出されていた掲示板に、目がわるい僕はかなり近付き、目を凝らして番号を探しました。
「あった!」
大きな図体の僕は、二分ぐらいずっと跳びはねていました。周りには大層邪魔だったでしょう。
こうして受験に成功したのですが、それは今まで助けてくださった先生方、友だちや家族がいてくれたからです。本当にありがとうございました。
これから受験生となる皆さんへ。なるべく余裕のあるうちから、勉強を始めるようにしてください。いつからでは遅い、ということでもないのですが。また、家族の助けを時々むずがゆく感じてしまうことがあるかもしれません。ですが、なるべく受け入れられるように努めてください。これは自分でもなかなか難しいのですが……。
何より、がんばろうと思える理由を探してみてください。がんばりに応えてくれる人はたくさんいます。また、そういう居場所が見つかるはずです。僕にとっては、それが成基学園でした。