滋賀県立米原高等学校
(普通科)
合格-2016年度
いつ出発するかが重要だ
私は将来、現在は生きていない生物の研究をする古生物学者になりたいと考えています。
現在は生きていない生物でも、特に知りたいのは昆虫です。昆虫はデボン紀(約四億百六十万年前)に誕生しましたが、研究対象としてはまだマイナーな時代であるため、石炭紀の昆虫の研究をして、もっとたくさんの人々に知ってもらいたいと考えています。
私は、小学五年生の終わりに成基学園に入りました。その頃は理科以外に、特にいい教科もなく、それを克服せずとも何とかやって行けました。
中学生になっても、特に目立った努力をしなくても、理科のおかげもあり、いい点をとれていたので、「別に勉強をがんばらなくても、高校に行けるのではないか」と思うようになりました。そんな怠け心から、中二の頃は授業中寝てしまうこともあり、塾に来ていても意味がないことをしたこともありました。案の定、テストの点数はどんどん下がりましたが、それでもまだ、「何とかなるのではないか」という甘さを捨てることなく、三年生に進級しました。
そんな私に転機が訪れました。それは〈夏期合宿(合宿)〉です。そこで、他の生徒との圧倒的な力の差を見せつけられました。予習の出来、授業中の発言など、明らかによくできる人が多くいたのです。〈合宿〉中のテストでは、もともと苦手であった英語は一桁近く、得意であった理科でさえも六割しかできず、今まで苦労せず、のんびりとすごしてきた私は、大きなショックを味わいました。今までの私なら、ここでのショックも一時的であったかもしれません。しかし、あまりにも低い自分の点数を見て、勉強に対する見方が変わりました。悔しさもありましたが、「自分もできるはずだ」という可能性を感じたのでした。これが私の受験への本当の「出発点」でした。残りの〈合宿〉中の自習時間は積極的に質問し、今までの遅れを取り戻そうと必死に勉強しました。その結果、最終日テストでは英語は七割近く、理科は八割越え、数学と社会は満点をとることができました。
それからというもの、一つ一つの授業を大切にするようになり、授業中も集中できるようになりました。その上、〈合宿〉で出逢った他教室のYくんも、今頃、志望校に向けて努力しているのだと思うと、自然に勉強に熱が入るようになりました。だから、〈合宿〉は今までの自分に秘められた新しい自分を引き出してくれた上に、入試に向けての強い心の武器まで与えてくれました。〈合宿〉のおかげか、その後の〈夏期講習会〉では授業速度が、「こんなにゆっくりだったっけ?」と思えるほど、話がよく耳に入るようになり、講習会最終日テストでは、苦手であった英語が今までで最高の点数となり改めて、「授業中にしっかり話を聞くこと、復習を早めにやること」で、どのような教科も点数が上がるのだということを実感できました。
しかしその後、もう一つの壁が立ちはだかりました。それは〈日曜特訓講座(日特)〉という一般入試の対策をする講座のテストです。当初、私は上位クラスにいたのですが、周りのレベルが高いというか、やはり私のレベルが低すぎて、英語でまたクラス最低点をとりました。英語の先生に、「英語だけ他のクラスに行くか?」と冗談で言われるほどで、自分でもまだまだ、模試で通用する実力がついていないことを知りました。
しかし、毎週の〈日特〉の復習を繰り返した結果、徐々に力がつき、〈日特〉の補習問題集は普通に解くことができるようになりました。この時期、苦手な単語の暗記は、英語の先生の助言で長文を読みながら覚える方法でクリアし、〈合宿〉で習ったことも思い出しながら勉強しました。一方で、二学期の成績は決して甘くなく、志望校には厳しいという現実に落ち込みました。それでも、特色入試を受けると決めたからには、落ち込んでいてはチャンスが消えると思い、過去問をしっかりやり、体調を崩しながらも毎日問題を解き続けました。試験前の時期は、心身の健康が本当に大切です。
入試当日はリラックスしていましたが、それで凡ミスをするという失態もありました。今までの努力を信じることは大切ですが、本番でミスをしないのは本当に難しいと思いました。そして、合格発表の日。担任の先生から「合格」と言われ、私の高校入試は終わりを告げましたが、同時に「新たなスタート位置」についたことにもなりました。
振り返ると、合格までにはたくさんの出会いがあり、中でも成基の先生や、友だち、〈合宿〉で出逢ったYくんなど、本当に感謝しています。私は何度もあったであろう「出発点」を見過ごすことがあり、だからこそ、これから受験をされるみなさんに伝えたいことは一つです。
「受験までの初期位置にはすでにいる。いつ出発するかが重要だ」ということです。どうか志望校に向けてがんばってください。