兵庫県立宝塚北高等学校
(普通科)
合格-2018年度
他人にも自分にも正直に接して、自分に関わる人々が幸せになる生き方をすることです。
僕は中学校で人の悪い顔を何度も見てきました。悪口や嘘、裏切り、他にもたくさん……。僕は人と正直に接することで、互いの悪いところが見えて、互いに改善していけるのだと思います。ひそひそしながら人と関わっても、状況は何も変わりません。正直になることで、社会の汚点を浮き彫りにして改善できる大人になり、人々が幸せな社会で暮らせるよう努めます。
三年間の後悔と未来の自分に託すもの
「もっと真面目に勉強しておけば良かった……」こんなことを思ったのは、僕だけではないと思う。僕のように中一、中二で、ある程度サボりながら生活していた人間はもちろんのこと、たとえどんな好成績を出せたとしても、全然満足のいかない人間は多かれ少なかれ、受験終了後に同じようなことを思ったのではないだろうか。
特に勉強しなかったのは、中二の二学期からだった。授業はほぼ寝る、自習しない、テスト前日でも遊ぶ、学校だろうと塾だろうと宿題はせず、答えを写し、最悪の場合、何とかしてやらないで済むようにしていた。とにかくひどい状態だった。勿論、成績は下がる一方で、定期テストの点数は四五〇点をこえなくなった。それでも模試は、兵庫県立 宝塚北高等学校の合格ラインをぎりぎりこえていたので、「もうどうでもええわ。このままでもどうせ受かるやろ」と完全に受験をなめていた。
転機は中三の五月頃。友人のMくんと一緒に塾から帰っていたときだった。そのときの僕は、中二のときにあったクラス規模のトラブルのせいで心が異常なほど荒んでいた。その影響は大きく、勉強や友だちづくり、ゲームなど、自分に必要なことから好きなことまで、全てに対してやる気が全く出なくなっていた。Mくんは、そのトラブルの相手の一人でもあったが、中二の最後の頃に互いの胸中を素直に明かしたことによって、以前の何倍も良い関係となった。帰り道でMくんと話をしていると、Mくんはこんなことを言い出した。
「俺、市立西宮高校に行きたいねん。」
そこは兵庫県第二学区の中でも、トップレベルを誇る学校だった。僕はそのときまで、そんなにすごい高校と自分は無縁だと思っていた。しかし、友人がここまでやる気になっているんだと思うと、自分もどんどんやる気が出てきた。その勢いで僕はこう言った。
「俺も市西行く。」
その瞬間から僕の「受験」は始まった。
僕は中三になってから、新しく人と関わることをできるだけ避けて過ごしていた。中二のときのようなトラブルにあうのが嫌だったからだ。でも、西宮市立 西宮高等学校を目指して勉強し始めると、周りから人が寄ってき始めた。
「すごいな。」
「めっちゃがんばるな、お前。」
そういう言葉をかけてもらえると嬉しくて、もっとがんばろうと思えるようになった。ただ、やる気が出たからといって、点数がすぐ伸びたわけではなかった。努力はしているつもりだったが、その努力は半分空回りで、夏休みまではずっとそんな状態だった。しかし、夏の〈夏期学習合宿(合宿)〉で上位の世界を見たことによって僕は、その状況から抜け出すことができた。僕はクラスでも下のレベルの方で、みんなポンポン正解していても自分はバツだらけで、悔しい思いで一杯だった。でもそこで出会った友だちを見ていると、「もっと工夫して勉強しなければ」と思うようになった。〈合宿〉は、そんなことをたくさん考えさせられる貴重な体験だった。
帰ってきてからは模試の嵐だった。模試の結果は、僕の市立西宮高校合格への可能性を厳しく示していた。それでも結果を受けとめてしまえば、さらにがんばろうと思うことができたし、その度に努力することができた。が、この結果では、僕には辛い判断を下すしかなかった。
志望校を変更してからは、脱力が甚だしかった。クラスの友人はなぐさめてくれたが、多少納得していないところがあった。でも、ターゲットが宝塚北高校に変わったことによって目標が受かることではなく、上位で合格することへと変わっていった。そう思うと、市立西宮高校を目指し始めた頃以上にやる気が出て、勉強が信じられないほど進んだ。そして、市立西宮高校という一歩上のレベルを目指し続けた成果がついに現れた。なんと、学校の定期テストで学年三位を獲得したのだ。その結果は、上位で合格できる可能性を明確にしてくれた。そして本番では、そのような結果が僕の背中を押してくれて、自信を持って入試に挑むことができた。
この作文を読んでくれた人に、僕が伝えたかったことは「サボるな」ということと、「どんな挫折も新たな道へと進む上で、とても役に立つものだ」ということだ。目の前にあるものは、一つひとつ丁寧にやっていかないと絶対に後悔する。そして挫折しても、その場で絶望しないでほしい。いずれ、その挫折にも「ありがとう」と言える日が来るから……。
これから高校という別世界で生きる上でも、社会に出ていってからも、この受験という経験は絶対に役に立つと思う。だから、どんな未来が待っているのかは全く予想がつかないけれど、僕はこれからもがんばることを続けていきたい。そうしてがんばることによって、未来の自分に今の自分の宝物や夢、そして新たな宝物や夢との出会いを託したいと思う。
最後に支えてくれた方々、本当にありがとう。